持続可能でスタイリッシュな集合住宅「カントK」

Michiko JUTO Michiko JUTO
カントK, 一級建築士事務所 こより 一級建築士事務所 こより Дома в стиле модерн
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周囲の環境を巧みに読み解きながら計画されたこれからの建築のあり方や時代のニーズの変化に対応できるこの共同住宅は建築事務所、こよりが手がけたもので、斬新でありながら地域性を意識したデザインによって半永久的に存在し続けるような建物を目指しています。共同住宅ですが一般住宅の計画にも当てはまる手法やサステイナブルなコンセプトなど参考にしたいアイデアがいっぱいです。

存在感のある外観

京都にある歴史街道に面した敷地で、周辺には史跡や町家そして田園風景も残る一方、近代的な建物が混在し雑然とした街並みになりつつある場所での計画です。典型的なマンション計画と同様合理性と経済性を重視した建物を求められたにもかかわらず、その佇まいも機能もオリジナリティに溢れる魅力的な共同住宅です。一見威圧感を感じさせるマッシブな佇まいですが、近隣環境や法規制を考慮しながら賃貸共同住宅の収支計画に沿って導き出されたボリュームや形態であり、縦のラインを強調した外壁とその隙間に設けられたバルコニーが程よいリズム感を生み、普遍的かつデザイン性のある外観を作っています。

力強さを感じさせるデザイン

3層吹き抜けとなった重厚感溢れるエントランスです。内側はそのままコンクリートの色を残し、外観は伝統的な町屋に見られる瓦屋根を思わせるいぶし銀のような落ち着いた趣きのある色合いに塗装。モダンで圧倒的なパワーを感じさせながらも静寂な和の雰囲気を醸し出すデザインが際立つ建物です。最近は建築家が手がける集合住宅も増えてきました。ディベロッパーによるありきたりのマンションではなく地域性や環境、そして人とのつながりを意識したプロジェクトとして注目を集めつつあります。「個性的な賃貸住宅の例「 D-APARTMENT」」も若手建築家が手がけた集合住宅です。是非ご覧ください。

シンプルで抜け感のあるデザイン

全18戸からなるこの集合住宅は、耐力壁を極力減らし内部空間の自由度を高めています。そうすることで時代のニーズ、住む人のライフスタイルや家族構成にフレキシブルに対応するような住まいを目指しています。それはスクラップアンドビルドの時代から脱却する一つの方法であり、持続可能な住宅の供給という目標から生まれたコンセプトに則っているんです。コンクリートやメタルといった無機質なマテリアルに合わせたのは温かみのある木製の共有玄関。

周囲に対して開放的な共有スペース

エントランスを入るとコンクリート打ち放しの無骨でスタイリッシュな共有部分が現れます。インダストリアルなマテリアルの良さを生かした飾り気なのないデザインがカッコいいですよね。大きく周囲に開放された開口によって圧迫感をなくし、近隣の風景を程よく切取り、街に溶け合うようなシーンを作り出しています。

開口のデザインを見直してみる

これは1階の共有庭に面した住戸です。天井までの大きな開口によって典型的なマンションにはない開放感をもたらしています。通常のマンションなら各個室に開口部ひとつで終ってしまうのですが、もう一つ設けることで空間の開放性や繋がりが生まれ、豊かな住空間に向上させることができるんです。左手の腰壁までの開口はバルコニーに向って開かれたもの。新たな視線の抜けやコミュニケーションが生まれます。

緩やかに繋がり光や空気を共有する空間

バルコニーに対しても開口を設けることで視線の抜けや広がりを作っています。手前のダイニングキッチンとワンルーム型にもかかわらず賢いレイアウトによってゾーニングされたリビングは掃き出し窓によってバルコニーと直接繋がり、明るい日の光をたっぷりと室内に取り込んでいます。室内の縦方向を突き抜けるラフな左官仕上げの塗り壁が熟れた感じの雰囲気を醸し出し、思わず素足で歩きたくなるようなナチュラルなフローリングと共にリラックスした空間を演出しています。

今までの集合住宅にはないフレキシブルな間取り

リビングから続く各居室は吊り引き戸で仕切るようになっているため、開けると一番奥の居室まで繋がるユニークな間取りを採用。一体感のある空間として使うこともできる他、廊下からのドアを設けられているのでもちろん独立した個室として使用するのも可能。今までにないフレキシブルな用途に対応できるのがこの集合住宅の大きな魅力なんです。

写真:吉田祥平

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