最近、見惚れてうっとりしてしまう物はありましたか。旅先の風景や好きな分野の最高傑作など人が普段感じるものは様々ですよね。住宅にもそんなうっとりと見惚れてしまうようなデザインがあるんです。ご紹介するのは木素材をふんだんに上品にデザインされた和風住宅です。辻・近川建築設計事務所が手掛けたこちらの「大野中の家1」は、「真の日本のすまい」設計競技において国土交通大臣賞を受賞した、まさに真の日本らしい繊細なデザインが活きた住まいです。近年、様々なモダンなスタイルの住宅にあふれていますが、やっぱり木の美しさを生かした日本建築にはきっと誰もが心を奪われてしまうのかもしれませんね。
敷地があるのは和歌山県海南市の穏やかな住宅地の一角。前面道路から見渡す外観は木目の美しい暖かみのあるデザインです。夕景に見る正面外観は玄関周りや開口に設けられた木格子から漏れる室内の明かりが暖かみを感じることができます。木素材をふんだんに使ったファサードは、単一素材ながらも表情豊かでうっとりしてしまうほどのバランスの良さが印象的です。
飛び石のアプローチに誘導されながら、玄関ポーチへ向かうと植栽の木漏れ日を感じる気持ちのいいスペース。日本の住宅らしい木を繊細に、ディテールにこだわった木格子のデザインが何とも上品な雰囲気を感じることができます。特別なロケーションでもなく、風景でもありませんが、どこか優雅で非日常を感じることができます。
室内仕上げはホワイトカラーベースに木素材、畳というシンプルで装飾を抑えたシンプルなインテリアです。通路と和室には間仕切りを設けず、フロアを一段上げ緩やかなゾーニングで一体的な繋がりを感じる空間です。大きな開口に雪見障子が和空間のゆったりとくつろげる雰囲気を醸し出しているようです。
二階の和室スペースはフロアから天井まで開く大きな開口に面した、光と風が流れ込む心地のいい空間。木素材をふんだんに使った室内内装は木の香りが漂ってきそうなリラックスできる居場所です。間仕切りのシンプルな壁に伸びる間接照明の柔らかな光が室内の雰囲気を一層ゆったりと落ち着ける空間に演出。昼間は自然光の明るさを、夜には淡い間接照明の暖かみを愉しむことができます。
お天気のいい日、和室に開いた大きな開口をフルオープンにすると遠くの山並みと空を見通すことできる爽快な眺望が開けます。フロアから少し上がった下框に腰を下ろしてちょっぴり暖かい太陽の日差しを浴びてゆったり過ごすのもいいですよね。